こだわりは理解され難い

2008年05月30日 22:24

 こだわりと言えるほどか分かりませんが、俺は場面転換に余計なものを挟みたくないんです。具体的に言うと、

「――と、そのとき別の場所では」や「Aが窮地に立たされているころBは〇〇であった」のような語り。これがどうも昔からダサく見えてしょうがないんです。何年前の小説だよって読むたびにツッコミ入れてます。80年代FT小説のパスティーシュっぽいノリで書くとき以外は滅多に使いません。

 場面転換は素早く、さり気無くが信条なので余計なものを差し挟むのが好きじゃないんですよね。他の人が使う分には良いんですけど。こだわりは往々にして他人が見ると我が儘ですから。

 こだわりと言えば前にニュースサイトでラーメン屋の店主が悩んでるという記事を見ました。なんでも近頃のラーメンは普通に上手いだけじゃなく、何かテレビを見てる人にアピール出来るものが無いと取り上げてもらえないんだとか。

「比内地鶏を使ったスープ」「うこっけいの卵」「黒豚のチャーシュー」などです。ラーメンは大衆食から食通ぶった人間が薀蓄を語り合う食べ物になったんですね。その風潮に合わせて店主も凝った食材や調理法を次々と考えているんですが、実のところ自分たちでも美味いか不味いか分からないというんです。

 とにかくテレビ映えする――チミッ子にも、なんか凄いと分かる――薀蓄を用意することに腐心して、それらが味に及ぼす作用は把握しきれない。本末転倒もいいところですね。こうなってくると美味いラーメンを作るために薀蓄があるのか、薀蓄を語るためにラーメン作るのか分かりません。

 普通に作って、そこそこ美味くて値段が安けりゃ一番いいだろと思うんですけどね。俺もテレビに取り上げられた話題の店とやらに行ったことありますよ。しかし……糞不味い店が多いのは何なんでしょうね。あれはマスコミで紹介されると厨房のキャパ超えて人が集まるから、途端に味が落ちるんでしょうか。個人で細々とやってる店にはありそうです。

 筒井康隆の『薬菜飯店』でしたっけ? 自信ないんですけども冒頭で「マスコミに紹介された美味い店が不味くなっても名前だけでしばらく持つのが関東、すぐに客が離れて潰れるのが関西」といったようなことが書いてありました。

 あるあるwww

 ラーメン屋の話したらグルメレポーターのネタ思い出しました。

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コメント

  1. ia. | URL | -

    場面転換か。
    あまり意識したことはなかったけど、
    確かに鯨さんが挙げられている例は古臭いですね。
    ヤッターマンのナレーションみたい(笑)
    YouTube面白いなぁ。
    ストリークの漫才も観ちゃった☆

  2. 火群 | URL | WzzJX4NY

    >『薬菜飯店』冒頭
    あー、合ってますよ。
    うん、あるあるw。

    ところで、薬菜飯店というと、JOJO第4部のイタリア人コックのスタンドの話が薬菜飯店のモロパク…パロディだったのを思い出します。

  3. nyatto | URL | -

    専門化と差別化

    最近のご時世としてスペシャリストが素晴らしいって風潮だからでしょうかね。
    こだわりって誰にもあると思うんですが、特化したというか目玉商品的な何かがないとダメっていうのはどうなんでしょうかね。
    確かにスペシャリストも必要ですが、ジェネラリストもいないとうまくいかないと思うんです。
    個人的には・・・「ラーメン?いや、おいらが好きなのはシナソバだよシナソバ」というこだわりが・・・

  4. 痛人害骨 | URL | -

    こだわりは理解されないからこだわりですが、鯨たんの言う場面転換はこだわりなのか?とも思います。
    ヲタだから例えがアレだけど、アニメで考えるとわかりやすいかも。
    「一方その頃」というナレーションや時間を示すテロップが許される場合や作品と許されない作品てあると思う。つまりセンス、それも結構基本的な意味でだと思う。
    ラーメン屋のくだりは自分のブログで似たような事書いたので割愛で。

    しかし、今の人って確実に頭は悪くなってると思う。
    どこの鶏だとか豚だとかに踊らされたくて仕方ないんだろうなぁ。
    ゴテゴテと装飾がつかないと駄目なわけか。
    最近のガンダムのデザインに通じるものを感じるデスよ。

  5. ぬこ | URL | Tf9aLMeg

     場面転換はBGMっぽくチャラリラーと一瞬で変わって、あれ変わったなーと読んでから気がつくのが好きかな。
     自分は行数空けるだけとか手を抜いたりしますけどね。

     まあなんですか、ラーメンよりも餃子がラーメンよりも気になって仕方ないぬこが通りますよ。
     ラーメン+餃子(両方ひど過ぎ)=ハライター! というパターンは馬鹿みたいにあります。
     このパターンであたり自体ないんですけどね!
     

  6. | URL | Xysd5fB2

    >ia.さん
     ストリークの野球漫才はハマるとハマりますね。
     スペンサーの苦手なコースはどこでしょう。「答え全部」は笑いました。確かに全く打てなかった。

    >火群さん
     薬菜飯店あってますか。よかった。
     jojo4部……奇妙な話ですね。

    >nyattoさん
     匠の業を求めているというより、見世物として分かりやすいものをテレビが要求してる気がしますね。普通に作って普通に美味いじゃ絵にならないから、子供でも分かるレベルで凄いっぽいことしてください、と。
     シナソバとラーメンの違いは何なんでしょう? たまにラーメンの横にシナソバをメニューで並んでる店を見ると、明確な違いがあるのか訊いてみたくなります。

    >痛人害骨さん
     場面転換でナレーションを入れるのは作中世界に神を創造する方法なんです。現代小説は神を殺して幕開けしたのに、ここに来て死に損ないの神を再び引っ張り出そうとする人たちがいるんですね。
     それが時代の流れか知らんけど俺は乗ってやらねー。QUEENだってシンセサイザー使い出してから迷走したじゃないですか。こだわりは大事。たとえ誰に理解されなくても。

    >ぬこさん
     ラーメン+餃子は定番のセットだけど、両方頼んでどっちも美味い店が少ないのは何故でしょう。
     どちらかが美味くて他方は残念な店なら多いんですけどね。

  7. つる | URL | -

    鯨さんのこだわりはとてもわかる。
    それだと世界史思い出しちゃう。
    わたしもあります。違和感があるのは↓コレ。
    「――この時は知る由もなかった」
    これだと、語ってる人がその先を知っているわけでしょう。こっちはサプライズに対しての準備ができちゃう。自分も使いたくないかな。オフザケでは使うかも。
    >ラーメン
    「二郎」派です。

  8. 森野帽子 | URL | GxAO5jdM

    初コメ(確か……)

    こんな時間にこんばんは。

    場面展開……
    自分に置き換えて考えると、
    化石的表現しているかもなー。
    あっアンティーク的価値ってやつ???
    それは……ナイナイ!!

    いやっその前に文章力が……
    ははは……無い!(断言!)

    ラーメン。
    奇をてらって、美味しさは何処にーーー!!!
    私、食に関しては、かなり保守派です♪

  9. ろぷ | URL | -

    >これがどうも昔からダサく見えてしょうがないんです。

     うん。ダサいですね。
    「見える」とかどうこう以前にただ単にダサいです。
     それがたとえ時代劇の大御所、司馬先生であっても(っていうかあの先生けっこう使ってる)やっぱりダサいです。
     なんていうか作者自身の声によるナレーションに聞こえちゃうんですよねぇ。とたんに、その小説世界を見ているのではなくて、作者の日記を見ている気になっちゃう。エッセイだとしたら問題ない言い回しだとは思いますが。

     あと横レスになっちゃいますが、つるさんの意見、とっても興味深いな。僕も違和感、感じてたから。

  10. | URL | Xysd5fB2

    >つるさん
    >>「――この時は知る由もなかった」
    既に終わったことを語る体の話で冒頭に持って来るのはありますね。ジョナサン・ケラーマン『大きな枝が折れる時』では、
    「素晴らしい朝になるはずだった。まちがっても殺しの話しなぞ聞きたくはなかった」
     と冒頭の一文に書いて、これから主人公は殺人事件に巻き込まれますと予告してきます。それで読者の興味を引くんですけど、この方法だと主人公は生き抜いて経験を語ってるから、絶対に死なないと分かるんですね。
     主人公を命の危機に追いやっても全く盛り上がらない。別なところで魅せる工夫が必要になります。

    >森野帽子さん
     ん? 確か2回目のような?
     書き方は人それぞれですから。自分は先が分からない展開で続きを読みたくてページ繰るのに、作者が先回りして全部説明しちゃうのは、でしゃばりじゃないかと思うんですよ。
     ラーメンは高級食材や奇をてらった組み合わせより、オーソドックスなのが一番ですよ。

    >ろぷさん
     司馬センセは基本的に上から目線ですね。チャンバラの途中でも構わず物語に降臨して、薀蓄を滔々と披露した後、それじゃ続きをどうぞと退散する。あれは他の人が真似したら袋叩きですよ。
     

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